昔は女の子が生まれると庭に桐の苗木を植え、その子が成人してお嫁入りするときに伐採して箪笥や長持ちを作り、嫁がせたと言います。

桐は家具材に適すると同時に成長が早く、15〜20年経つと成木となることから、こうした風習が根付いたようです。

日本の気候は、年間湿度が18%から80%まで上下するといわれ、非常に収納物が傷みやすいのです。

桐は湿度が高くなると膨張して気密性を高め、乾燥時には収縮することにより、まるで呼吸しているかのように乾湿調整を行うので、桐箱の内部は一定の快適な状態に保たれます。

そのため、古くから高級な美術工芸品を収めるのに桐箱が使われるなど、湿度の高い日本ならではの桐文化が発達したのです。

他にも、桐は軽く、防湿・防虫効果がある、燃えにくい、木目が美しく光沢がある、軽いといった特長から、掛軸や額装の箱、琴、琵琶、下駄など、多くの用途で親しまれてきました。

杉本幅生堂では、このような桐の特性を活かしながら、鍛え上げた技でご注文いただいた品を創りあげています。
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